授業で活用できる
AI教材
~自動化&ゲーミフィケーションで…
授業が変わる!生徒が伸びる!~
メタバース、AI採点、教材作成。2025年7月31日、東京・新宿に集まった先生方が、AIを「使う」だけでなく、授業と教師の役割をどう変えていくのかを一緒に考えました。
2025年7月31日(木)、新宿コズミックセンターで「AI教材活用研究会(東京)」を開催しました。当初の定員を上回るお申し込みをいただき、急きょ会議室を2つつなげて実施。会場では、講師の話を聞くだけでなく、ツールの体験とテーブルごとのディスカッションを繰り返しながら、現場での活用を具体的に考えました。
◷ タイムスケジュール
メタバースで何ができる?
開発者と一緒に考える未来の授業
第1部は、monoAI technology株式会社の笹岡氏が担当。メタバースを活用した授業の可能性をテーマに、開発者とともに探究・協働学習やゲーミフィケーションの活用法を議論しました。自由度の高い仮想空間での活動例や、学習者の主体性を促す仕掛けづくりについて、具体的な意見交換が行われました。
紹介されたのは、月の環境を再現したワールドで学ぶ活動、SDGsをストーリーに沿って探究する活動、ゲーム性のあるクイズに挑戦する活動など。参加者も実際にセミナー用の空間へ入り、アバターで歩き回りながら、説明を聞くだけではわからない「自分から動きたくなる感覚」を体験しました。
議論の焦点は、ゲームを使えば自動的に学習意欲が高まる、という単純な話ではありません。学習目標とゲーム要素をどう結びつけるか、自由度をどこまで与えるか、協働を生む仕掛けをどう設計するか。授業者の設計そのものが問われるセッションになりました。
月の環境をMinecraftで再現し、月について学ぶワークショップの実例。
SDGsを学ぶストーリーベースのワールドを紹介。
実際にセミナー用空間へ入り、ゲーム性のあるクイズや仮想空間を体験。

ディスカッションの声|第1部
体験のあとのテーブル討議と、当日寄せられたコメントから抜粋・要約しました(お名前は伏せています)。開発者の笹岡氏からその場で回答があったやり取りも掲載しています。
五感を使った体験は大切で、仮想空間とのすみわけをどの程度にするかが難しいと感じました。— 参加者
現実と仮想のバランスは非常に難しいところだと思っています。やはり、実際にはできない体験をメタバースでできるという部分に価値があると考えているので、そうしたものをご提案できるよう努力していきます。
自分が定位置にいながら空間の広がりが無限であること、「試し」ができることがメタバースの良さだと思いました。たとえば探究で仮説が生まれたときに、メタバース上で実験して効果を見て(早送りなど)、再考する——というサイクルができると面白い。人口統計から特徴を設定したNPCを置く、といったことはできますか?— 参加者
ゲームとしては、近いものがすでにあります。100%の実現は難しいかもしれませんが、部分的に作る、決められたシナリオの中で仮説に対する結果を体験する、といったことは可能ですし、将来的には実現できるものだと思います。
皆さんが疑問に感じているのは、遊びの要素と学びの要素の線引きが難しいこと、そしてゲーム要素が強いものは、実際に定着させるレベルまで持っていくのが難しいのではないか、という点ではないでしょうか。— 参加者
どちらも難しい問題だと感じています。線引きについては、どこまでゲーム要素を取り入れるかを学校や教育委員会としっかり協議しながら調整させていただいています。定着という点については、まず学びへのモチベーションを掻き立て、「もっとこのテーマについて勉強したい」と生徒さんに考えてもらうきっかけになれば、と思っています。
本当におっしゃる通りで、既存のゲームは学びにならないのですよね。ゲームを否定はしませんが、ゲームでしかない。企業側が現場の分析をして、ヒアリングをして、「学び」を学ばないといけませんね。
高等教育の学びを必要としている高校生が、ゲーム要素を必要とできるか。教育効果を上げられるかはゲーム内容によると思いますが、今日体感したものだと厳しいかなと感じました。紙のほうが定着が良い場合もありますし、大学だと匿名性が心地よい場合もあります。— 参加者(複数)
今回ご紹介したZEPは少し低学年向けなので、高校であればより複雑なメタバースを使ったほうが良い可能性はあります。高等教育で使っていただくには、より複雑なゲーム性のものが適しているかもしれません。
アフリカとか、いろいろな外国の国に行って旅行する設定なども面白そうです。— 参加者
確かに、世界旅行のような形で各国の文化や言語について学べる空間などは面白いかもしれません……! 参考にさせていただきます。
Minecraftやフォートナイトは個人でやるゲームのようで、なかなか馴染める感じではないのですよね。人数が多いと、ログインなどにも時間がかかりそうです。ルーティンになれば使えそうですが。
そのほか、会場から出た質問と回答
- マインクラフトやフォートナイトを教科にどう取り入れる? 理科の授業でのマイクラ活用など、実践事例の動画が紹介されました。
- 学校向けのアカウント販売や、他の空間へのアクセス制限は? 学校向けの販売はあり。アクセス制限も空間単位での制御という形で可能です。
- 人数が多いとログインに時間がかかりそう。 メタバースのプラットフォームによっては、ログインなしで使えるものもあります。
- クイズの解答に幅を持たせられますか? (例:Playing baseball is fun. を To play baseball is fun. と答えても正解にできるか)現状は難しく、今後の開発の参考にさせていただきます、との回答でした。
- チャット機能はオン・オフできますか? メタバース内でボタン1つで切り替え可能です。
- 「ロビーに課題を置いて生徒のペースで取り組ませる」なら、既存の掲示板ツールでもできるのでは? ゲーム要素はあくまで学習モチベーションの改善が目的で、定期的に利用してモチベーションを保つ使い方が良いのでは、という議論になりました。
「その採点、先生がやるべきですか?」

第2部は、AIによる採点自動化を入口に、「AIにどこまで任せるのか」「導入すると授業はどう変わるのか」「人にしかできない評価とは何か」を考えるセッションでした。
参加者は、手書き答案を画像から読み取って記述式問題を評価する仕組みと、プレゼンテーションとその後の質疑応答をAIが即時に評価する仕組みを実際に体験。多肢選択式だけでなく、自由記述や手書き、即興的なやり取りまでAIが扱えることを確かめたうえで、教師の役割について意見を交わしました。
特に印象的だったのは、採点負担が大きいことで生徒のアウトプット量を制限してしまうという問題提起です。評価の一部をAIに任せることが、単なる時短ではなく、生徒が言葉を使い、考え、表現する機会を増やすことにつながるのではないかという視点が共有されました。
ディスカッションの声|第2部
ライティングとスピーキングの自動採点を体験しながら交わされた、評価をめぐるやり取りです。AIに任せる範囲と、人が担う部分の線引きに議論が集まりました。
ライティングの自動採点について。①確実に役に立ちます。②子供たちが書いたものを各自で撮影&評価してもらうことで教員の負担は軽減され、子供たちが行う演習量はいくらでも増やせます(個別最適化)。③デリバリーの部分(アイコンタクトや声の大きさ)は評価が難しいですね。— 参加者
ありがとうございます。②50分で100語程度のエッセイを3セット行っている学校もあります。力の付き方が半端ないです。③確かに! これができるようになるとよいですね、というか、できるようにしますね。
採点時間が取れないので、スピーキングやライティングの課題を正直なるべくやらないようにしている(もしくはALTに丸投げしている)ので、こういうツールはとても助かります。— 参加者
スピーキングは音声データを提出してもらって、ALTと一緒に採点しています。今回体験したような自動評価の仕組みで見てもらうのもいいのではないでしょうか。
今まで避けてきた発信技能を、今こそやるべきだと思います。私も昔は録音データを夜な夜な採点していました。ぜひ楽になってください。
発音がカタカナ英語でも満点だったのですが、採点基準を変えれば減点になりますか。— 参加者
発音の正確さはAIには不得手なので、そういう部分は人間(教員あるいはALT)がやったほうがいいのではないかと思います。
発音は「AIが認識できるレベルになれば合格」という考え方です。これにも歴史があって、初期のAIは発音に非常に厳しかったのですが、世界中の英語の音声データが蓄積してより寛容になったのではないでしょうか。World Englishesの流れもあると思います。なお、意味(内容)ではなく発音にフォーカスするのであれば、それ専用の評価ツールがあります。
「話せる」ではなく「話そうとしている」ことを評価できたら嬉しいですね。“I…, I…” みたいな生徒も拾ってあげたいです。— 参加者
主体性の部分はAIには評価が難しいので、自分はアイコンタクトや表情の部分を対人で評価し、内容や英語の語法的な部分をAIに評価してもらうようにしています。
これは興味深い論点です。前回の学習指導要領の改訂時に、そのような評価方法がありうることが示されましたね。ただ、どうも私にはしっくりこなくて……「言おうとしている」姿勢とはどんな姿勢なのか。“I…I…” と同じ単語を繰り返していれば、本当に言おうとしていると言えるのか。定義ができないのではないかと思い、私はその評価方法をとっていません。もし「この子は言おうとしている!」と見極める客観的な方法をお持ちなら、AIにも実装できるはずです。なお、アイコンタクトはAIにも評価できそうですし、表情も、表情自体に意味づけができれば可能になりそうです。
吃音など、要配慮生徒の声はどこまで反映されますか。— 参加者
「言い直しをしても減点しないでください」というプロンプトを与えれば、おそらく配慮はできると思います。それ以外にどのような配慮が必要になりそうか、ぜひ教えてください。
「その教材、まだ手作業で作っているのですか?」
第3部では、教材作成の省力化をテーマに、生成AIや専用ツールを使いながら、授業で使う教材を短時間で作る方法を体験しました。
New wordsから単語リストを作り、穴あきプリントやRetelling用の4コマ画像まで生成。
ブラウザで動く学習ゲームや、本文・PDF・URLから確認テストを自動作成。
トピックや難易度を指定し、原稿・音声・設問を一連の教材として準備。

ディスカッションの声|第3部
Claudeやテストメーカー、リスニング教材の作成ツールを実際に触りながらの意見交換です。「こんな教材がほしい」が、その場で形になる場面もありました。
単語のフラッシュカードを作ってほしいです。単語の発音付きで、使うたびにシャッフルされるものがいいです。— 参加者
Claudeに次のプロンプトを与えて作ったものが、これです。──「ブラウザで学習できる英単語のフラッシュカードを作れますか? 発音を聞いて、その後クリックしたら意味が出てくるように。トピックは月の名前です。」
→ その場で生成されたフラッシュカードはこちら
すごい! ありがとうございます。Claude研究します!
問題はできるだけ本文をパラフレーズした英文で構成したいのですが、問題にもリクエストすることはできるのでしょうか。— 参加者
問題を作った後にスクリプトが出てくるので、そこで手動で直すか、そのスクリプトをChatGPTなどにコピー&ペーストしてパラフレーズさせる方法になります。
実際の会話のように、相手の発言が終わる前に被せてくる、といった機能があると面白いですね。— 参加者
このプロダクトは「評価」に重きをおいているので、発話者の声が正確に収録されることを重視し、できるだけ声が重ならないようにしています。以前そうした英会話アプリを試したことがありますが、少し沈黙するとすかさずAIが話してくるので、多くの生徒は自分のターンを奪われて非常に気を悪くしたのですよね。上級者(CEFR C2ぐらい)には気になりませんが、普通の高校生を想定するとかなり重要なポイントになると、その時思いました。
日本の男子高校生にリスニングスクリプトを読ませたら、確かに……とはなったのですが、切れ目や抑揚があまりにも下手で、ドットまで読み上げてしまい笑ってしまいました。リスニングテストに出せるレベルではなかったので、日本の特徴を残しつつ伝わる英語を再現できるように、日本人の英語にレベルを作れるのも調整できて面白いかも、と思いました。— 参加者
この件は前回の高崎のセミナーでも議論しました。なかなか日本人のデータがなくて……そして企業側もジャパニーズ英語に需要がないので、それを集めよう! と腰が上がりません。全国の生徒のみなさんに協力してもらって作れたら、画期的ですけどね。
参加者の声と、振り返り
当日のディスカッションや終了後の振り返りから、印象的だった声を抜粋・要約してご紹介します。単に「便利だった」という感想にとどまらず、これまで時間や人数の制約で諦めていた実践を、もう一度考え直す声が多く寄せられました。
生徒の手書き文字を目を凝らして読んできた時間を考えると、評価のやり方そのものを見直せそうだと感じました。
英語教師が「ここが大変」と思っていたことが、次々とAIでできるようになっていることに驚きました。
何回やってみても、これはすごいソフトです。先生方の仕事効率は格段に上がりますね。
時間がない、人数が多いからと諦めていたことが、実現できるかもしれないと思えました。
子供たちが書いたものを各自で撮影・評価してもらえば、教員の負担は軽減され、演習量はいくらでも増やせます。
手書きでも扱えることが印象的でした。記述問題を多く出す授業でも活用の可能性がありそうです。
フィードバックがとても素晴らしいと感じました。
授業で使える方法をたくさん知ることができました。ツールを使うこと自体が目的にならないよう、授業への組み込み方を考えたいです。
教材づくりがここまで簡単になるとは驚きました。普段、教材作成に困っている同僚にも共有したいです。
自分でも英語学習アプリを作っているので、さらに試してみたいという意欲につながりました。
AIをうまく使えば、教師にとって強力な相棒になり得ると感じました。
すごい! ありがとうございます。Claude、研究します!
AI教材活用研究会とつながる
研究会では、教育現場の実践事例やセミナーレポート、AI活用のヒントを継続して発信しています。
おわりに
今回の研究会では、AIやメタバースを「便利な新技術」として眺めるだけではなく、授業のどこを変えたいのか、教師は何を担うのか、生徒にどんな経験を増やしたいのかを、ツール体験と対話を通して考えました。
メタバースで活動をデザインする。評価をAIと分担する。教材作成を小さくして授業に時間を戻す。3つのセッションは違うテーマでしたが、どれも「テクノロジーを使って、学びの機会をどう増やすか」という問いにつながっていました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!






